家屋をむしばむ「シロアリ」について

シロアリは世界に約2000種生息しております。そのほとんどは、人間と直接関係の無い場所で生活しています。その一方でわが国のシロアリ被害による建築物は毎年増え、被害額は1000億円以上ともいわれています。

シロアリはもともと南方系の害虫ですが、住宅の温暖化から北上傾向にあり日本全国的に被害が広がってます。

大切な家屋を食いつぶす害虫シロアリ。その実態は建物の床下から蟻道を通って侵入し、大好物の木材・紙類を求めて1年中活動しています。そのため家屋の大切な構造材である土台・大引き・柱を加害します。

 又和歌山県南部は、温暖な気候の為、九州・四国に次いでシロアリ被害の多い地域です。身近に発生している、種類、生態は以下の通りです。

建物を加害する代表的なシロアリの種類

● イエシロアリ

~ 数百万頭の群れで一気に建物を食い尽くすシロアリ種 ~

  • [学名] Coptotermes Formosanus 
  • [分類]  等翅目 (シロアリ目), ミゾガシラシロアリ科
  • 職蟻(働きアリ); 体長約4.5~6.5mm

イエシロアリは巣を構築して一箇所に長くとどまることからエサ場を放棄することはあまりありません。言わば「定住型」 です。

茨城県を北限として太平洋沿岸を中心に、温暖な地域に生息している(一月の平均気温4℃、最低平均気温0℃以上が生息環境)。

被害は建物全体におよび、極めて激しい被害を出す危険種。

建物や土中に塊状の数十万から数百万匹の大きな巣を作り、食害速度は早く被害は激烈で、乾燥した木材でも上手に水を運んで2階部分まで食害する。

● ヤマトシロアリ

~ 駆除しても数十頭→数万頭へ再増殖するシロアリ種 ~

  • [学名] Reticulitermes speratus (Kolbe)
  • [分類]  等翅目 (シロアリ目), ミゾガシラシロアリ科
  • 職蟻(働きアリ); 体長約4~6mm

ヤマトシロアリの集団はエサ場を変えながら生きる言わば「遊牧民族」 です。

北海道の寒冷地を除き日本全体に生息しています。
土の中・湿った木材の中など、多湿な場所を好み、被害は床下に多い。巣内の個体数は2~3万匹。

万が一、駆除施工後に20頭前後が生き残った場合、数年で数万頭の集団に再生します。そのため駆除には生態の熟知と高い技術を要します。

● アメリカカンザイシロアリ

アメリカ産の侵入種です、これまでに、千葉、東京、神奈川、大阪、兵庫、和歌山、広島、鹿児島などの各都府県の一部で発見され、今後も新たな発見が予想されている要注意新種。

土の中には住まず、乾いた木材を加害するため、被害は建物以外にも家具などにおよびます。

アメリカカンザイシロアリは、加害スピードは遅いものの、小集団による被害が点在するため、被害を見つけにくいのが特徴です。

発見の手かがりとなるのが砂粒状の「糞」。加害材の表面に穴をあけ、その穴から外に排出します。この糞を見つけたら、アメリカカンザイシロアリがいる可能性大です。

羽アリ飛翔の時期は決まっておらず、少量ずつ長期間にわたり羽アリが飛翔します。

和歌山県内も広範囲に被害が及んでいて、近隣では、すさみ町の家屋で被害が確認されています。


シロアリの発生(群飛)

シロアリは繁殖期に羽アリとなって巣から飛び立ちます。

(シロアリ群飛・ハネムーン) 

これはスウオームと呼ばれる行動で、4月~7月(上記の種より異なる)にかけられて見られます。 次世代の女王・王である羽アリは着地すると羽を落とし、湿った土台や切株、腐朽した木に小さな孔を 堀り、新しい巣を作り始めます。

建物では、床下・風呂・トイレなど湿気が多い所に産卵し、産卵後卵からかえって、 周期ごとの脱皮を繰り返し、職蟻・兵蟻になり、家屋に被害をもたらします。 職蟻・兵蟻の様な階級を持つのは早くても、半年から、1年要します。

次世代の巣を作るのに群飛が始まるまで、約4・5年の時間が要します。その間は、被害が見つけぬくく、拡大する恐れも多いです。